「フカソさん、PTA会長やってもらえませんか」
去年の春、この一言に「えっ……」と固まってしまった。
シングルファザーで、仕事あり、末っ子の送り迎えあり、それで会長? 頭の中で「無理」という文字が点滅していた。でも結局、断れなかった。そして気づいたら1年が終わっていた。
今回はその1年間の正直な感想を、きれいごとなしに書いてみる。「PTA役員を頼まれているけど不安」「ひとり親でも役員なんてできるの?」と思っている人に、少しでも参考になれば。
なぜ会長になったのか
正直に言うと、断れる雰囲気じゃなかった。
前年度から副会長をやっていて(これも断れなかった)、年度末の会議で「次の会長候補は…」という空気が流れたとき、周りの目が自分に向いた。「フカソさん、もう内情もわかってるし」とか「来年度も子どもさんいますよね」とか。
「シングルで仕事もあるので…」と一応言ってみたけど、「みんな忙しい中やってますから」という返しが来た。そうですよね、そうなりますよね。
不安だったのは「時間」より「孤立感」だった。ほかの役員さんはほぼ全員ママ。私が会議の場で浮かないか、何か決めるときに意見を言いにくい空気にならないか。それが一番怖かった。
PTA会長の実際の仕事内容
「会長って何をするのか」、なった当時の自分が一番知りたかったことなので、具体的に書いておく。
- 月1回の本部役員会(平日夜・約1〜2時間)
- 月1回の全体委員会(同じく平日夜)
- 学校行事への参加(運動会・文化祭・卒業式など年間10回前後)
- 市のPTA連合会の会議(月1〜2回・これが地味にきつかった)
- 学校長・教頭との定期面談(月1回程度)
- 広報誌のチェックや挨拶文の作成
- 緊急案件への対応(保護者からのクレーム対応の窓口になることも)
数えると、月に6〜8回は何かある計算。毎週のように予定が入る月もあった。「思ってたより多い」が正直な感想だ。
ひとり親として大変だったこと
一番しんどかったのは「平日夜の会議と息子のサッカーの練習が重なる日」だ。
息子はサッカー少年で、週2〜3回練習がある。送迎は基本的に自分。でも夜に会議が入ると、練習後に迎えに行けない日が出てくる。チームの他の親御さんに何度か頭を下げてお願いした。これが精神的にじわじわくる。
仕事との両立も、余裕があったとは言えない。会議の日は早退や有休を使ったこともある。「PTAのために有休を使う」という現実は、最初はちょっとモヤっとした。
それと、女性ばかりの場での「会長」という立場の難しさ。会議で何か決めようとすると、「会長が言うなら」という空気が出ることがある。これが逆にプレッシャーで、慎重に発言しなきゃいけない場面が多かった。
やってみて良かったこと
正直、良かったことも思いのほかあった。
一番は「地域の人と顔見知りになれた」こと。市のPTA連合の会議に出るようになって、近隣の学校の先生や役員さんと知り合いになった。須賀川って思ったより狭くて、どこかで顔を合わせることが増えた。「あ、PTAの人だ」と声をかけてもらえると、なんか地元感が出てくる。
もうひとつは「子どもの学校行事に正当な理由で関われる」こと。会長という立場上、運動会も文化祭も卒業式も参加するのが当然。普通の親だと参加しにくい場面でも、堂々と前列にいられる。「お前の親、また来てるじゃん」と息子に言われたりするけど、まあそれはそれで悪くない。
学校の先生たちと顔なじみになったのも大きい。担任以外の先生ともコミュニケーションが取れるようになって、息子の学校生活について話しやすくなった。ひとり親だと学校との関係が薄くなりがちだけど、これは逆に深まった感じがある。
「やらなければよかった」と思った瞬間
正直に書く。保護者からのクレーム対応をしたとき、「なんで俺がこれを…」とは思った。
内容は書けないけど、ある行事でのトラブルについてクレームの電話が来て、私が窓口になって学校側と調整した。夜9時過ぎに電話が鳴って、1時間近く話し込んで、翌朝また確認して。それでも「対応が遅い」と言われた。
さすがにそのときは「来年は絶対やらない」と思った。
それでも続けた理由は、単純に「任期が1年だから」だ。あと半年、あと3ヶ月、と数えながらやっていた。あと、引き受けた以上は「会長として情けない仕事はしたくない」というプライドが、地味に支えになっていた。
ひとり親でもPTA役員・会長はできるか?
結論から言うと、「できる。でも無理はしなくていい」だ。
私がやってみてわかったのは、「完璧にやろうとしないこと」が一番重要だということ。会議を全部出席しようとしない、一人で何でも抱えない、他の役員さんに頼む、学校の先生と協力する。これができれば、ひとり親でも回せる。
もし断れる状況なら断ってもいい。本当に余裕がないときに無理してやるのは、子どもにしわ寄せがいく。それは本末転倒だ。
ただ、「ひとり親だから」という理由だけで最初から諦めなくていいとも思う。実際にやってみると、思ったよりサポートしてくれる人はいる。「シングルで大変なのに頑張ってますね」と声をかけてもらったこともあった。周囲が全員敵なわけじゃない。
アドバイスとしては、
- 引き受ける前に「どんな仕事があるか」を具体的に確認する
- 子どもの送迎や仕事の都合を事前に役員仲間に正直に話しておく
- 「完璧にやらなくていい」と最初から決めておく
- 仕事量が多い場合、副会長や他の役員に積極的に分担を提案する
これだけ守れば、おそらく乗り越えられる。
まとめ
PTA会長になってみて、やってよかったかと聞かれたら「……まあ、良かったと思う」と答える。即答できないあたりが正直なところだ。
しんどかったのは本当。でも地域との繋がりができて、学校との距離が縮まって、息子の行事に全部関われた。それは確かにプラスだった。
ひとり親でPTAを頼まれて悩んでいる人に言えることは、「やれそうなら、やってみてもいい」ということ。絶対やれとは言わない。でも「ひとり親だから無理」と思って端から諦める必要もない。
少なくとも私は、やりながら学んで、なんとか1年間やりきった。51歳のシングルファザーでも、できた。
同じ立場で悩んでいる誰かの、少しでも参考になれば嬉しい。


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